カスタマーエージェントは、LINE上のお客さまにAIが自動で応答する機能です。ワークフローのアクションとして追加し、応答の方針、参照する情報、LINEでの見え方、会話の終わり方を設定します。方針と情報源さえ整えれば、あとはAIが質問に応じて答え、必要なときだけ担当者へ引き継ぎます。
カスタマーエージェントをワークフローに追加する
カスタマーエージェントは、ワークフローのアクションとして動きます。メッセージ受信や友だち追加などのトリガーと組み合わせて使います。
- ワークフローの編集画面を開きます
- アクションを追加し、「カスタマーエージェント」 を選択します
- 右側に設定パネルが開きます
設定パネルは次の5つのブロックに分かれています。各ブロックは見出しをクリックすると開閉でき、閉じているときは設定内容の要約が見出しの下に出ます。
| ブロック | 設定すること |
|---|---|
| 応答の方針 | システムプロンプトと、返信しない条件 |
| 参照する情報 | ナレッジベースと、Shopifyの商品・注文データ |
| LINEでの表示 | AIの名前、アバター画像、挨拶メッセージ、ボタンの文言 |
| 会話の終了 | 自動終了までの時間、終了時のメッセージ、回答できない場合のメッセージ |
| 連携 | HubSpotへの会話の保存、外部AIエージェント連携 |
応答の方針: システムプロンプトでAIの役割を決める
AIの基本的な振る舞いや性格は 「システムプロンプト」 で決めます。「プロンプトを編集」 をクリックすると編集画面が開き、役割や応答方針を書けます。
カスタマーサービス向けのテンプレートが最初から入っています。まずは冒頭の「(ブランド名)」を自社の名前に書き換えて使い、必要に応じて自社の言葉に整えるのがおすすめです。元に戻したいときは 「デフォルトに戻す」 で初期状態に戻せます。
| ポイント | 書き方の例 |
|---|---|
| 役割を定義する | 「あなたは○○のカスタマーサポート担当です」とAIの立場を明確にする |
| 応答方針を指定する | 敬語の使い方、回答の長さ、対応できない質問の扱いを指定する |
| 制限事項を設定する | 個人情報の扱いや、回答を控えるトピックを明示する |
| 返信しない条件を決める | 「スタンプのみのメッセージには返信しない」のように条件を書き、あわせて 「特定条件で返信しない」 を有効にする |
システムプロンプトを具体的に書くほど、回答の品質が安定します。
システムプロンプトに変数を入れる
システムプロンプトには、友だちごとに値が変わる変数を入れられます。編集画面の下にある変数ボタンから、友だちのフィールドや、HubSpot・Klaviyoから同期したプロパティ、トリガーの変数を選んで挿入します。挿入した変数はバッジで表示され、会話の開始時にその友だちの値に置き換わります。
テンプレートには、LINEの表示名を使って「◯◯さん」と呼びかける指示が最初から入っています。会員ランクや購入履歴のプロパティを入れておくと、相手に合わせた案内ができます。
特定条件で返信しない
「特定条件で返信しない」 を有効にすると、システムプロンプトで指定した条件に当てはまるとき、AIが返信も担当者への引き継ぎも通知もせずに対応を終えます。スタンプだけの投稿や、社内向けの連絡などに使います。条件そのものは、システムプロンプトに「○○の場合は返信しない」と書いておきます。
参照する情報: ナレッジベースを参照させる
AIが回答に使う情報源は 「ナレッジベース」 から選びます。あらかじめ登録しておいたドキュメントを選ぶと、AIはその内容をもとに回答します。
複数のドキュメントをまとめて選択できます。よくある質問や商品情報を登録しておくほど、AIは正確に答えられます。
ナレッジベースは事前にアップロードしておく必要があります。登録方法は「ナレッジベースの管理方法」をご確認ください。
参照する情報: Shopifyの商品と注文を参照させる
Shopifyと連携しているワークスペースでは、ナレッジベースに加えて、Shopifyの商品データと注文データをAIに参照させられます。2つのチェックは独立しているので、商品案内だけ、注文照会だけ、という使い方もできます。
| 設定項目 | AIができるようになること |
|---|---|
| Shopifyの商品データを参照する | 商品名・価格・在庫・バリエーション・商品ページのURLを検索して案内します。セール中の商品は通常価格もあわせて伝え、商品ページのURLはそのままお客さまに案内します |
| Shopifyの注文・配送状況を参照する(LINE連携済みのお客様のみ) | お客さまご本人の注文について、注文番号・注文日・金額・支払い状況・発送状況・追跡番号・追跡URL・注文状況ページのURLを確認して案内します。注文番号を伝えられなくても、直近の注文から探して答えます |
Shopifyと連携していないワークスペースでは、この2つの項目は設定パネルに出ません。連携の手順は「Shopify連携方法」をご確認ください。
注文の情報を案内できるのはLINE連携済みのお客さまだけ
注文の内容は、お客さまご本人がShopifyのアカウントとLINEを連携しているときだけ案内します。連携していないお客さまには、注文番号を伝えられても内容は開示せず、LINE連携の方法を案内します。ほかの人の注文を、名前や注文番号から引き出すことはできません。
連携済みのお客さまにも、配送先住所・メールアドレス・電話番号は案内しません。
AIは注文の操作をしない
AIができるのは、注文の状況を調べて伝えることまでです。キャンセル・変更・返金・返品・配送先の変更などの操作は行いません。お客さまからそうした依頼があったときは、店舗で対応する旨を伝え、担当者へ引き継ぎます。「有人対応へ」の分岐に担当者への通知を置いておくと、依頼を取りこぼしません。
案内できる注文の範囲
Shopify連携のあとに入った注文と、連携した時点からさかのぼって60日分の注文が対象です。発送状況や追跡番号はShopifyの出荷情報から取り込みます。Shopify側で追跡番号を入力していない出荷は、「発送済み」とだけ伝えます。
価格や金額は、Shopifyの店舗通貨のまま案内します。
LINEでの表示: 名前・アバター・挨拶メッセージを設定する
お客さまから見えるAIの見た目と最初のメッセージを整えます。ブロックの上部にLINEの画面を模したプレビューがあり、名前・アバター・挨拶メッセージ・ボタンの設定がそのまま反映されます。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| AIの名前 | LINE上でお客さまに見えるAIの名前です。20文字以内で入力します。例: 「AIサポート」「○○アシスタント」 |
| AIアバター画像 | LINE上でお客さまに見えるアイコン画像です。「画像をアップロード」 からファイルを選びます。ファイルサイズは30MB以下にしてください |
| 挨拶メッセージ | 会話の始めにお客さまへ自動で送るメッセージです。例: 「こんにちは。何かお手伝いできることはありますか?」 |
挨拶メッセージには、メッセージ配信と同じ変数を入れられます。入力欄の変数ボタンから友だちのフィールドやトリガーの変数を選ぶと、会話の開始時にその友だちの値に置き換わります。
ボタンの文言を変える
会話中、お客さまの画面には終了ボタンと有人対応ボタンがクイックリプライとして出ます。文言は、わかりやすい言葉に変えられます。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| 終了ボタンのラベル | 会話を終了するボタンの文言です。タップすると「終了後」の分岐に進みます。例: 「終了」 |
| 有人対応ボタンのラベル | 担当者への引き継ぎを求めるボタンの文言です。タップすると「有人対応へ」の分岐に進みます。例: 「オペレーターに相談」 |
| 有人対応ボタンを表示しない | 有効にすると有人対応ボタンが出なくなり、お客さまはボタンからは引き継ぎを求められなくなります。AIが必要と判断した引き継ぎは行われます |
会話の終了: 自動終了までの時間とメッセージを決める
お客さまの最後のメッセージから一定時間がたつと、会話は自動で終わります。時間は 「自動終了までの時間」 で選びます。初期値は1時間です。
| 選べる時間 | 向いている使い方 |
|---|---|
| 30分 | 短いやり取りが中心で、次の会話をすぐ新しく始めたいとき |
| 1時間(初期値) | 一般的な問い合わせ対応 |
| 2時間・6時間 | お客さまが調べながら返信するなど、間が空きやすいとき |
| 24時間 | 1日のうちに何度も続きを聞かれる対応 |
「自動終了時にメッセージを送信する」 を有効にすると、終了時にお客さまへ任意のメッセージを送れます。「時間が経過したため会話を終了しました」のような案内を設定しておくと、お客さまが状況を把握しやすくなります。
会話が終了しても、7日以内に同じお客さまが「昨日の続きですが」のように切り出した場合は、AIは前回の会話の末尾を踏まえて応答します。
回答できないときのメッセージを用意する
「回答できない場合のメッセージ」 は、AIが回答を作れなかったときにお客さまへ送る文言です。エラーが起きたとき、応答が時間内に返らなかったとき、会話のやり取りが上限に達したときの3つの場面で送られます。
未入力の場合は、LINE公式アカウントの国に合わせた標準の文言が送られます。「申し訳ございません。ただいま自動応答でお答えできません。お手数ですが、時間をおいて再度お問い合わせください」のように、次にどうすればよいかまで書いておくと、お客さまが困りません。
会話終了後の分岐を設計する
カスタマーエージェントのアクションには 「終了後」 と 「有人対応へ」 の2つの分岐があり、お客さまの操作またはAIの判断によって進む先が変わります。それぞれの分岐の先にアクションを置くと、会話のあとの対応を自動化できます。
| 分岐 | 進む条件 | 活用例 |
|---|---|---|
| 終了後 | お客さまが終了ボタンをタップして会話を終えたとき | お礼メッセージの送信、アンケートの案内 |
| 有人対応へ | お客さまが有人対応ボタンをタップしたとき、またはAIが対応困難と判断して引き継いだとき | 担当者への通知、有人対応の開始 |
設定パネル下部の「次のフロー」には、どちらの分岐につながっているかがアクションごとに表示されます。
連携: 質問と回答をHubSpotに残す
お客さまがAIに聞いた内容と、AIが返した回答を、HubSpotのコンタクトプロパティに残せます。HubSpot連携を設定しているときだけ、「HubSpotに会話を保存」 の項目が出ます。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| 質問を保存するプロパティ | AIへの最新の質問を、選んだHubSpotコンタクトプロパティに上書き保存します |
| 回答を保存するプロパティ | AIの最新の回答を、選んだHubSpotコンタクトプロパティに上書き保存します |
保存されるのは、どちらも最新の1件だけです。前の内容は上書きされます。HubSpot側のセグメント(リスト)やワークフローで「何を聞かれたか」を条件にしたいときに使います。
連携: 外部AIエージェントと連携する(A2A)
自社で開発したAIエージェントをカスタマーエージェントとつなぐ高度な設定です。「外部AIエージェント連携」 は、A2Aプロトコルで外部のAIエージェントとつなぐ機能です。通常のご利用では設定する必要はありません。
外部AIエージェント連携はEnterpriseプランで利用できます。ほかのプランでは項目が鍵付きで表示され、「アップグレード」 からプランを変更できます。
外部エージェントを設定しなければ、カスタマーエージェントは単独で動きます。
外部エージェントを追加する
外部エージェントは設定パネルから追加します。複数のエージェントを登録できます。
- 設定パネルで 「外部エージェントを追加」 をクリックします
- 次の項目を入力します
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| エージェント名 | 外部エージェントを識別するための名前です |
| エンドポイントURL(必須) | 連携先エージェントの接続先URLです |
| Agent Card URL(省略可) | 連携先エージェントの機能情報を示すURLです |
A2A連携の仕組みについては「A2A連携の概要」をご確認ください。
効果的に使うためのコツ
カスタマーエージェントは、設定の作り込み方で回答品質と引き継ぎのスムーズさが変わります。運用を始める前に次の4点を整えておくと効果的です。
| コツ | 内容 |
|---|---|
| システムプロンプトを具体的にする | AIの役割と対応方針を明確に書くと、回答のばらつきが減ります |
| ナレッジベースを充実させる | よくある質問や商品情報を登録しておくと、AIが正確に回答できます |
| Shopifyの注文照会はLINE連携とセットで案内する | 注文の案内はLINE連携済みのお客さまにだけ届きます。リッチメニューや挨拶メッセージで連携の入口を用意しておくと、照会できるお客さまが増えます |
| 引き継ぎの流れを用意する | 「有人対応へ」の分岐に担当者への通知を置くと、キャンセルなどの依頼も含めて有人対応へスムーズに切り替わります |